アモン

レメゲトンに登場する悪魔の一人、アモン。
最も強靭きょうじんと言われ、過去や未来を見通す彼ですが、実は恋愛に詳しいという以外な一面も。
その名前はエジプトの太陽神が由来とされています。

(目次)
  1.姿形
  2.由来
   【閑話】真の赤き竜
  3.能力考察
 

1.姿形

悪魔アモンは、ふくろうの頭をもつおおかみで、へびの尾を持っています。
(頭は別の鳥だという説や、狼の体には後足が無いという説もあります)


また、召喚しょうかん者が頼むと人型に変身してくれますが、人型のときは牙のある渡鴉わたりがらす(あるいは五位鷺ごいさぎ)の頭をしていて、口から火をくのが特徴。

天使の体に五位鷺(あるいは梟やからす)の頭をもつ悪魔、アンドラスと良く似ているので注意。
羽があったらアンドラス、羽がなく牙があればアモンです。

 

2.由来

アモンは魔術書「レメゲトン」(別名、ソロモンの小さな鍵)の第一章、ゴエティアに登場する72人の悪魔の一人。
40個師団しだんを配下を持つ序列7位の大侯爵こうしゃくです。

また、レメゲトンを参考に書かれたとされる「大奥義書(グランド グリモア)」では、悪魔の将軍サタナキアの配下としてアモンが登場します。

【閑話】真の赤き竜

「真の赤き竜」とは、大奥義書の別名のこと。
この書物は大西洋を渡り、ハイチのブードゥー教にも影響を与えているそうです。
(赤き竜はサタンを意味する)

ブードゥー教といえば、ゾンビで有名ですよね。
ゾンビはアフリカの精霊信仰と、西洋のオカルト知識が合わさって誕生したのです。


アモンの名の由来は、エジプトの太陽神アメンとする説があます。
(アメン神についてはクリオスフィンクス参照)

その根拠は、どちらも頭部が鳥という共通点があるからという理由です。
ところがアメン神は羽冠はねかんむりを付けた人型で、頭部も人。
鳥の頭ではありません。
(獣に変身した姿もありますが、羊頭のスフィンクスです)

しかしアメン神は、太陽神ラーおよびその息子、ホルスと同一視されることがありました。
このホルス神こそが、鳥頭の人型(あるいは鳥頭のスフィンクス)なのです。

もしかすると悪魔アモンは、悪魔ホルスという名前になっていたかもしれませんね。


ちなみに、アメン神の名前の意味は「隠されたもの」だと言われます。

そしてもうひとつ、神秘しんぴを意味する英語のオカルト。
その語源であるラテン語オカルタにも「隠されたもの」という意味があるのです。

アメン神から名前をもらった悪魔アモンは、まさにオカルトの代名詞だといえるでしょう。

 

3.能力考察

アモンは最も強靭と言われる悪魔であるほか、過去や未来を見通す力をもつ、恋愛相談のスペシャリストでもあります。

恋の秘訣ひけつを教えてくれるほか、仲直りや仲違なかたがいさせる力を持っているのです。

あなたは今、どんな想像をしましたか?
・・・私は、オネェな口調のマッスル男(鳥頭)をイメージしました。

「最近は、誰も呼んでくれなくてさびしいのヨぉ!」

中世以降、各地の異教や民間伝承の神々が悪魔であるとおとしめられますが、悪魔アモンがエジプトのアメン神を悪魔と見做みなした時の姿だとすると、太陽神ですからそりゃまあ強いです。

元ネタのホルス神(≒アメン神)は、戦争を象徴しょうちょうするというセト神と戦って勝利するほどですから、エジプト神話の中でも最強格だといえるでしょう。


たとえホルス神と無関係であったとしても、アモンは「最も強靭」と形容される悪魔です。

上司のサタナキアやその上に君臨くんりんする悪魔、ルシファー、ベルゼブブ、アスタロトといった面々よりも強いかもしれませんね。