ギリシャ神話に登場する巨人アルゴス。
百の眼を持つ異形の怪物です。しかし、本当は神に仕える王子様。
今回は、そんなアルゴスについて説明します。
(目次) 1.姿形 2.由来 3.能力考察
1.姿形
アルゴスは全身に百の眼を持つ巨人で、パノプテース(普見者、普く見るもの、広く見るもの)アルゴスと呼ばれていました。
背中に第三の眼があったり、後頭部に二つの眼があるパターンもあります。
2.由来
出自は諸説ありますが、アルゴス国王アゲノールの息子で実は王子様。
ゼウスの妻である女神ヘラに仕えていました。
アルゴスはギリシャ語で「輝く」という意味。
国の創設者アルゴスにあやかった名前です。
創設者のアルゴスは主神ゼウスと河神の娘ニオベとの間に出来た息子なので、この国の王族はみんな、神の末裔ということになりますね。
アルゴス地方はバルカン半島の最南端、ペロポネソス半島の東部にあります。
蛇女エキドナが住むアルカディア地方と隣り合っており、そのため巨人アルゴスがエキドナ退治を行ったというお話も残っています。
エキドナ退治のほかにも、アルカディアを荒らした雄牛退治を行うなど、人々のために働いていたアルゴスでしたが、あるとき女神ヘラの命令で牝牛を守ることになりました。
アルゴスの百眼は交代で眠るため、眠らない番人として抜擢されたのです。
しかし、この牝牛は姿を変えられたゼウスの愛人イオでした。
アルゴスは、イオを取り戻そうとしたゼウスの使いヘルメス神によって殺されてしまうのです。
殺された時の状況は諸説あり、
葦笛で眠らされた上で首を切られたとも、遠くから石を当てられたとも言われます。
(一説には、使命を果たせなかった責任を負ってヘラにより処刑されたというものもあります。)
なお、女神ヘラはアルゴスの死後にその眼を取って、飼っている孔雀の羽に飾ったとされます。
3.能力考察
百眼の巨人アルゴス。
死角が無く眠らないと言われてきた彼ですが、さすがに神様にはかなわず笛の音で眠らされてしまいます。
魔法による眠りには、けっこう弱いということでしょうね。
肉体的には強靭で、暴れ牛の退治も成功させたほど。
エキドナ退治の時には、武器として棍棒を用いていました。
しかしこれはアルゴスという巨人のスケールが、規格外では無いということも示唆しています。
アルゴスは山のような巨人ではなく、ちょっと大きい巨漢サイズなのです。
そこから想像できる身長は3~5メートルくらいでしょうか。
1対1の取っ組み合いならば無敵でしょうが、距離をとった弓矢での戦いや多人数での戦いならば、一般人でも十分勝ち目があることでしょう。