ガーゴイル

ガーゴイルは動く石像モンスター。
まるで今にも動き出しそうな不気味な像が「もし本当に動いたら」
そんな空想がこのモンスターを生み出しました。

(目次)
  1.姿形
  2.由来
   【閑話】魔除けの像と鬼瓦
  3.能力考察
  4.小ネタ
  (1)ガーゴイルの犯罪抑止効果
 

1.姿形

ガーゴイルは石像を魔法で動かして作られた、ロボットのような存在です。
人工物であるため悪魔や動物、ドラゴンや人間など、姿に幅広いバリエーションあるのですが、悪魔の姿が最も多く見られます。

 

2.由来

悪魔の姿で作られることが多いガーゴイルですが、本来のガーゴイルは悪魔そのものではありません。

その名前の由来は雨樋あまどいにあります。
ヨーロッパの教会は、雨水あまみずき出す彫像ちょうぞうを壁や屋根などに備え付けているのですが、この像を英語でガーゴイルと呼ぶのです。
つまりガーゴイルは教会を守る見張り番であり、悪魔の敵として作られたものなのです。

なお、「見張るもの」を意味する人名グレゴリー(グリゴリ)とガーゴイルは語感が似ているので、もしかするとこちらも由来に関係あるかも知れませんね。

【閑話】魔除けの像と鬼瓦

なぜガーゴイルのような石像が作られたのか。

これには諸説ありますが、ヨーロッパでは、動物の頭部の彫像を魔除まよけとして使用する風習がありました。
その発展形が悪魔や動物、幻獣、人間型のガーゴイルだと考えられています。

想像ですが、原始時代には像ではなく生首や剥製はくせいかかげていたのかも知れません。

日本にも、鬼瓦おにがわらを屋根に飾ることで、鬼除けにする風習がありますよね?
実はこの鬼瓦、古代ローマ帝国のガーゴイルがルーツなのです。

ヨーロッパと中国を結ぶ交易路、シルクロード。
その途中、シリア砂漠のオアシスにパルミラという都市がありました。
パルミラはローマ帝国の都市のひとつで、魔除けとして建物の入り口にメデューサのガーゴイルを飾る風習があったのです。

ガーゴイルは、パルミラを通じて中国に伝わり鬼瓦へと姿を変え、奈良時代に仏教とともに日本の寺社建築に取り入れられたのです。

 

3.能力考察

*マニカト禁止*

普段はじっと動かないガーゴイルですが、ひとたび侵入者を察知すれば、たちまち動き出し襲い掛かってくる、恐ろしい監視役です。
多くは屋根上など高所に配置され、飛行能力を付与されているのも特徴のひとつ。元は石像であることから防御力が高く、弓矢も有効ではありません。
空中のガーゴイルを倒すには、魔法か、それこそ重火器が必要です。

また、その重量も危険です。
人の比重はおよそ1、石の比重が1.8~3.2です。悪魔型ガーゴイルだと翼や尾もあるため勘案すると、ガーゴイルは同じ身長の人間の約3.5倍程度の重量と考えられます。
身長170cmで人の場合は70kg、ガーゴイルだと245kgと言ったところでしょうか。
大型バイクと比較しても50kgほど重いです。
それだけの重量物が空から急降下して襲い掛かってくることを想像してみてください。
当たったらオシマイです。

もしもガーゴイルに襲われたら、屋外でぐずぐずしないで、急いで屋内に駆け込みましょう。狭い場所に追い詰められて戦うのも危険ですが、手の届かない頭上から降ってくる岩塊よりは、遥かにマシです。

なお、ガーゴイルはただの像ではなく、魔除けと雨樋が起源のモンスターです。
もしもガーゴイルをもっと強くしたいと考えるなら、神聖な力や魔法無効化、水の力を持たせても、面白いかもしれませんね。

 

4.小ネタ

(1)ガーゴイルの犯罪抑止効果

犯罪は「動機」「機会」「自己正当化」の三要素が揃うと発生します。(クレッシーの法則)
ガーゴイルのお仕事は、このうちの「機会」を潰すこと。侵入者を倒すのではなく、寄せ付けないようにするのです。

防犯カメラ設置や警備員の巡回は現実でも犯罪抑止に大きな効果を持っていて、これ見よがしの警備を行うことによって、不法侵入をある程度未然に防げることが分かっています。

ガーゴイルはファンタジー世界の防犯カメラ兼、警備員。
当然、防犯効果がありますが、大切なのは設置場所です。
「誰にでも見える所」や「周囲を見渡せる所」つまり屋外に設置することが重要なのです。
ダンジョンの奥深くに隠して設置しても、あまり意味がありません。

もしあなたが、冒険者の不法侵入に悩む邪悪な魔術師であれば、ガーゴイルを入り口前に設置することを考えてみてはいかがでしょうか。