ゴブリン

現代では邪悪な小人というイメージを持つゴブリンですが、実は妖精・幽霊などもゴブリンと呼びます。
たくさん種類がありますが、あれもこれも、そっちもゴブリン。
今回は、そんなゴブリンたちがテーマです。

(目次)
  1.姿形
  2.由来
  3.能力考察
  4.小ネタ
  (1)J・R・R・トールキン
  (2)怪物の肌は、なぜ緑?
 

1.姿形

ゴブリンは、ヨーロッパ各地の伝承に登場するモンスター。

  1. 邪悪な精霊
  2. いたずら好きの妖精
  3. みにくい幽霊
  4. ノーム(地の精)やドワーフ(小人族)、あるいはその一種

など種類が豊富で国や民話によって姿は様々ですが、現代創作に登場するゴブリンは、おおむね地下に住む醜い邪悪な小人で、数が多く社会性を持っている姿で描かれます。

 

2.由来

現代作品におけるゴブリンのイメージは、作家J・R・R・トールキンの「ホビットの冒険」や「指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)」が元になっています。

ゴブリンが登場する「ホビットの冒険」は、児童向けに出版された小説なのですが、これが大人にも大ヒット。
この後に執筆された「指輪物語」では大人の読者も意識して、登場するモンスターがゴブリンからオークに改名されました。

「指輪物語」では、ゴブリンはオークの英語訳という設定。
ゴブリンという単語は、子供だましだと感じさせるらしいです。
日本語で例えると、”わるい妖精さん”みたいなニュアンスなのかな?

英語訳といえば、ドイツのモンスターであるコボルトの英語訳もゴブリンと言います。


そしてゴブリンとは別に、ホブゴブリンという名前のよく似たモンスターも古くから存在します。
こちらはゴブリンとは異なり、こっそり家事を手伝う良い妖精のことです。
(「ハリー・ポッター」シリーズに出てくる、しもべ妖精のようなものと言えば分かるでしょうか。)

本来、ホブゴブリンとゴブリンは別物・・・のはずだったのですが、名前が似すぎていたためか現代では上位のゴブリン、つまりゴブリンよりも強く邪悪なモンスターとして登場することが多く、誤解が進んでいます。


まとめると、
ゴブリン(ゴブリン)と、ゴブリン(ノーム)と、ゴブリン(ドワーフ)、そしてゴブリン(オーク)がいて、ゴブリン(コボルト)と、ホブゴブリンがいる。
さらにゴブリン(小人)や、ゴブリン(妖精)、ゴブリン(精霊)と、ゴブリン(幽霊)もいるということですね。

・・・
正体不明で小型の人型モンスターは、だいたい全部ゴブリンと呼ばれます。

 

3.能力考察

ゴブリンは不確かな存在ですが、知恵を持つ小人という特徴はほぼ共通しています。
おとぎ話のゴブリンはしばしば言葉で人を翻弄ほんろうしますが、いたずらをする、人をだますということは、相手よりも賢くなければ出来ないことです。

ゴブリンは小柄であるため、人間と正面から戦えばまず負けてしまうでしょう。

しかしゴブリンには知恵があります。
仲間をたくさん集めたり、不意打ちしたり、罠をはったり・・・
自分よりも強い相手を倒す方法はいくらでもあるのです。
時には、人間や他のモンスターと協力することだってあるでしょう。
知恵を使った取引や交渉ごとなら得意分野。ゴブリンの最大の武器は、何よりもまず言葉なのです。

ゴブリンは、非力だけど油断ならないトラブルメーカー。
長い物語の最初のきっかけを作るに相応ふさわしい。
そんなモンスターです。

 

4.小ネタ

(1)J・R・R・トールキン

ジョン・ロナルド・ロウエル・トールキン
第一次世界大戦や辞典の編纂へんさん、大学講師などの経験を経て教授になった元詩人志望のアフリカ産まれのイギリス人作家。

ゴブリンのほか、エルフやドワーフ、オークのイメージを固めた人物で、エルフ語(クウェンヤ、シンダール)など複数の架空言語を作ったり、それらの方言、歴史まで設定を作り込むものすごいこだわり派。

現代に氾濫はんらんするファンタジー作品は、ほとんど全部トールキンの影響を受けています。
もしもトールキンが「指輪物語」を出版しなかったなら、アニメや漫画、ゲームにも、エルフやドワーフなんて出てこなかったかも。

(2)怪物の肌は、なぜ緑?

皆さんは緑色を見て何をイメージしますか?
木々の緑、エコ、いやし・・・
そんな想像をするのではないでしょうか。
ゲームの回復魔法は、だいたい緑色をしていますよね。

しかし、そんな想像をするのは日本人だけかもしれません。
色が持つ意味は、国によって異なるのです。

ヨーロッパの作品に登場する怪物たち。
ゴブリンやオークをはじめ、映画の「シュレック」や「ハルク」など、ほとんどの怪物が緑色の肌をしていることに気がついたでしょうか?
これは、緑色に「怪物」という意味があるからなのです。

ヨーロッパで緑色というと、若さや未熟さ、毒や怪物、嫉妬などを意味します。

癒しとは正反対。かなりネガティブな意味ですよね。