ハーピー。
ハゲワシがモチーフの半鳥人です。
同じ半鳥人のセイレーンと、よく間違われますがこちらは老婆。
昔ながらの魔女、かぎ鼻の醜い老婆というデザインは、ハーピーがモデルなんじゃないかなぁ。
(目次) 1.姿形 2.由来 【閑話】ハーピーたちの名前 3.能力考察
1.姿形
ハーピーは醜い老婆の頭と胸をもつ禿鷲の姿をしています。
別名ハルピュイア。
現代創作では老婆ではなく、若い女性の顔で登場することが多いですが、本来は食料を人から奪って食い散らかし、残飯に汚物を撒き散らして去っていく「汚い」モンスター。
ただし、人の食卓を荒らすのには理由があります。
神の怒りをかった預言者を罰するため、そうするように神がハーピーに命じたからなのです。
だからいつも汚いわけではありません。
・・・たぶん、きっと、おそらく。
2.由来
ギリシャ神話に登場するハーピーたちの父タウマースは、大地母神ガイアと、海神ポントスの息子。
母であるエレクトラは、海神オケアノスと女神テテュス(6000人の水神を産んだスゴイ女神)の娘で、ハーピーの姉妹には虹の女神イリスもいます。
ハーピーは神の使いとして登場し、主神ゼウスや冥府の神ハデスに従っていますので、ただのモンスターではなく、知性の高い神の一柱と考えるのが自然でしょう。
ハーピーたちの多くは風に由来する名前を持っています。
水神の子孫ですので、雨雲を運ぶための風かもしれませんね。
なお、ハーピーの母とセイレーンの父が兄弟姉妹の関係なので、ハーピーとセイレーンは従姉妹です。
親世代が6000人の大家族ですから他にも沢山親戚がいて、半人半馬のケンタウロスとだって親戚なんですよ。
【閑話】ハーピーたちの名前
-
- “疾風” アエロ
- “嵐の足”アエロプスや、”突風”ニコトエという別名もある。
元々はギリシャではなくクレタ島の竜巻を司る神、”突風”マプサウラーであったという説もあります。 -
- “速く飛ぶ者” オキュペテ
- ギリシャ神話、イアソンの冒険に登場。
アルゴー号に乗船していたカライスとゼテス(ハーピー、ケライノの息子という説がある有翼人)に追い掛け回されて命乞いしたり、ヘラクレスは危険だから置き去りにして行けと進言したり、恨んだヘラクレスに殺されてしまったりする。 -
- “暗黒” ケライノ
- 詩人ウェルギリウスの叙事詩「アエネーイス」で登場。
ハーピーたちの最長老で、叙事詩の主人公に不吉な予言をした。「恐ろしいケライノ」という二つ名も持っている。
このケライノと下記ポダルゲは、ハーピーの姉妹(エレクトラの娘)ではないという説もある。 -
- “足の速い者” ポダルゲ
- 西風の神ゼピュロスの妻で、クサントス(ザンザス)とバリオスという不死の馬を産んでいる。
2頭の馬はポセイドンから英雄アキレウスに贈られ、アキレウスの死後はポセイドンの元に帰った。
3.能力考察
ハーピーは鋭い鷲の鉤爪を持ち、自在に空を飛ぶことができます。
知恵があり予言をする力もありますが、老婆であるため戦闘向きではありません。
肉体的な強さは一般人以上、英雄以下といった所でしょうか。
実際のところハーピーのオキュペテは、飛んで逃げた時に有翼人の甥っ子に体力負けして降参しましたし、ヘラクレスには碌な抵抗も出来ずに倒されました。
ハーピーのモチーフである禿鷲は、ライオンなどの食べ残しを狙う死肉あさりと呼ばれますが、時には子鹿やジャッカルを狩ることもある大型の鳥。
決して弱いわけではありません。
ですが禿鷲の最大の武器は、堅い獣皮も切り裂くナイフのような鋭い嘴。
狩りを主とする鷲と違って、爪の握力はそれほど強くないのです。
人面を持つハーピーには嘴が無いため、普通の禿鷲よりも弱体化しているかも知れませんね。
ちなみに、ハーピーは中世以降になるとセイレーンと混同され、セイレーンのように人を魅了する魔法の歌を歌えると勘違いされるようになってしまいます。
元々のハーピーにそんな能力はありませんので、あしからず。