バスク神話の雷神シュガール。
主神マリと結びつき、春を告げる嵐を起こす蛇神です。
後世では、魔女の宴サバトでマリとともに嵐を起こす悪魔とされました。
(目次) 1.姿形 2.由来 【閑話】バスク民族 3.能力考察
1.姿形
シュガールは通常、大蛇あるいはドラゴンとして描かれます。
ほかにも親の言うことをきかない子の前に、シュガールが「交差する炎の鎌」の姿で空にあらわれて罰を与えるという伝承があります。
日本のなまはげに、ちょっと似ていますよね。
鎌にまつわる神様は世界的にも多くみられますが、そのほとんどが農業に関係する神です。
シュガールは雷神と呼ばれますが、どちらかというと季節や天候の神が近いのかもしれません。
妻のマリ神は春のお祭り五月柱(メイポール)の主役ですし、シュガール自身も古くは春の守護霊とされていました。
2.由来
名前はバスク語で「雄蛇」の意味。
火炎という意味が隠れているという説もあります。
バスク神話は創世神話をもたないため、主神マリの夫であるにもかかわらず、シュガールはあまり活躍しません。
……それどころかほとんど登場がありません。
せいぜい春に嵐を呼ぶくらい。
それすらも妻のマリと共同作業ですから、そりゃ影も薄くなりますよね。
シュガールは、戦わない雷神なのです。
なんだか、女社長と主夫みたいな関係ですよね。
中世になると、こんな地味な雷神にもキリスト教は目をつけます。
古い神々は全て悪魔とされ、主神マリは魔女と関連づけられるのです。
当然、夫のシュガールも悪魔とされました。
ドラゴンの姿から雷に変身して山を駆け巡り、ふもとの人に恐怖を与えるという、神話とは打って変わってアグレッシブな姿で登場するのです。
【閑話】バスク民族
バスク民族はスペイン北東からフランス南西部にかけて住んでおり、古代ローマ時代よりも前から存在する民族の子孫(周辺民族とは系統が異なる)とされます。
独自の言語、文化をもっていて、血液型も珍しい「Rh-型」が多いことが特徴。
ベレー帽 発祥の地であり、宣教師フランシスコ・ザビエル、革命家チェ・ゲバラなどがバスク系の有名人です。