ゾンビ

今回はホラー映画の大スター、ゾンビについて解説します。
現在ではくさった死体が動き出すというイメージが定着していますが、本来は腐る前に墓から掘り出すことが必要なのです。

(目次)
  1.姿形
  2.由来
   【閑話】ブードゥー教
  3.能力考察
 

1.姿形

「ゾンビに筋肉は必要か?」

ゾンビは大きく分けて2種類あります。

1つ目は、動く死体であるパターン。半分腐った姿で描かれ、「生ける屍(しかばね)」と形容されることがあります。ゾンビと言ったらこれですよね。
魔法など外部の力で操られていて、筋肉不要。もやしゾンビ。

2つ目は、実はまだ生きている仮死状態のパターン。基本的に普通の人と見分けがつかないですが、元ネタ的にはこちらが元祖ゾンビ。
たとえ病気で体が腐ったように見えたとしても、中身は元気。自力で動いています。
筋肉必要。マッチョゾンビ。

例外はありますが、どちらのタイプも意識が無く、ゾンビを作り出した主人の命令にただ従う(あるいは、目的なくさまよい無差別に襲いかかる)状態になっています。

近年では人間だけでなく、動物や架空生物、死体をつなぎ合わせたようなゾンビも登場し様々な姿をしていますが、主に「陸上動物」がゾンビにされます。
植物や昆虫、魚、鳥、スライムのゾンビってあまり見ませんよね?

もっとも、最近のゾンビ人気を見ていると、腐ったミカンが冷蔵庫から飛び掛ってくる、そんな植物ゾンビがメインの映画も今後出てくるかもしれません。

 

2.由来

【ゾンビの作り方】

その1:名前を呼ぶ

ゾンビはブードゥー教の司祭、ボコ(ボコール)が作ると信じられてきました。

ボコがゾンビを作る方法は、死体が腐る”前”に墓から掘り出し、名前を呼んで目覚めさせるというもの。作り出されたゾンビは魂を封じられ、奴隷として売られてしまいます。
ゾンビ化防止策としては、ボコが来ないように埋葬まいそう場所を見張ったり、よみがえらないよう死体を損壊しておくなどの手段があります。

【閑話】ブードゥー教

アフリカの民間信仰が奴隷貿易とともにアメリカなど植民地に伝わり、その後、宗教弾圧を逃れるためキリスト教と混ざりあって出来たのがブードゥー教です。

中身はアフリカ系の精霊信仰ですが、表向きは聖母マリアが出てきたりします。日本で言う、隠れキリシタン的なもの。(隠れる側は逆ですが)

異端を嫌うキリスト教の一派と確執かくしつがありましたが、近年ではキリスト教と両方を信仰している人も多くなってきている模様。
カリブ海の島国、ハイチで大きく発展したと言われています。

その2:毒を使う

西アフリカには、ゾンビパウダーと呼ばれる毒で人を仮死状態にし、脳にダメージを与えて意思を奪い、奴隷にする刑法があった。・・・という説があります。
一昔前に流行った説なのですが、ゾンビパウダーの原料になるフグ毒を(猛毒を持ってないはずの)ハリセンボンから採っていた等、矛盾が多く信憑性が低いとも言われています。

 

3.能力考察

【みんな仲良く】アットホームな職場です

ゾンビの厄介な点のひとつに、自分の意思が無いことが挙げられます。身を守ることすらしません。
真面目にまっすぐ、休まず毎日夜遅くまで、眠らず、どんな上司にも逆らわず、たとえ体を壊しても、その結果死んでしまうとしても、延々と働き続けるのがゾンビです。
また、病気やブラック求人呪いを蔓延まんえんさせ、逃げ遅れた人を自分と同じゾンビに変えてしまうことで、どんどん数を増やす場合が多いです。

とはいえ、肉体面で見ると大抵のゾンビは人並み以下。1対1では、はっきり言って弱いです。判断能力にとぼしく武器も使えない。体調も万全でないため動きが鈍い。
距離をとってしまえば安全です。

冷静に対処すれば簡単に退職逃げられそうなのですが、おぞましい姿で休み無くじわじわ迫ってくるゾンビは、人を疲弊ひへいさせ、あせりと恐怖からパニックにおとしいれます。

その場から動けなくなったり、やみくもに逃げたり、自分だけでも助かろうと単独行動したり、どう見ても助からない人を助けようと危険に飛び込んだり・・・。
普段は絶対やらない危険な行動を、ついやってしまうのがパニック状態。こうなると、人は自滅の道を突き進みます。
力が弱いゾンビですが、その姿だけでも人を追い詰めることができるのです。

皆さんは、あせらず無理せずゾンビにならないよう、このサバイバル人生を楽しみましょう。