グリフォンは、現代でもゲームや小説に良く登場する人気モンスター。
既に名前や姿を知っているという人も、多いのではないでしょうか。
とはいえ、元ドラゴンだったり、天使だったり、面白い話はたくさんあります。
今回は、グリフォンの知られざる由来や習性を紹介します。
(目次) 1.姿形 2.由来 3.能力考察 4.小ネタ (1)仕事大好き
1.姿形
グリフォン(グリフィン)はギリシャの伝承に登場する、鷲の頭と翼に、獅子の下半身(前足は鷲で後足が獅子)を持つモンスター。
鷲の部分は金色で、獅子は黄褐色あるいは虹色まじりの白とも言われます。
白という説は13世紀頃の詩人ダンテが、叙事詩「神曲」の一場面でグリフォンの獅子部分を白色にして、キリストの人性を表現した(神であることを間接的に否定した)という故事が元になっていますので、それ以前においては一般的ではなかったと考えられます。
ギリシャの伝承には色違いのグリフォンも登場します。
義憤と罰の女神、ネメシスに従うグリフォンは、他と違って全身が漆黒に染まっており、少し特別なグリフォンだと考えられていました。
2.由来
グリフォンの名の由来は、ギリシャ語のグリュプス(曲がった嘴)ですが、元々の発祥はギリシャではなく、インドのドラゴンにあるという説があります。
はるばるインドから世界各地を経由して、ようやくギリシャにたどり着き、そこで名をあげたモンスターなのです。
グリフォンは、ギリシャに伝わるまでに世界各地を経由したため、ギリシャ版以外にも、いくつかバリエーションがあり、姿や役割も様々です。
たとえば、エジプトにはヒエラコスフィンクス(頭が隼のグリフォン)がいますし、旧約聖書では胴が牛のグリフォンが、智天使としてエデンの園の番人をしています。
今でこそ獰猛な怪物というイメージが強いグリフォンですが、かつては聖獣や天使として恐れと同時に敬意もあり、大変畏怖されていたのです。
しかし、時代の変化とともにその神聖さが薄れ、いつしか恐ろしさだけが強調されるようになります。
ヨーロッパの民謡などで怪物として描かれるようになるほか、キリスト教における7つの大罪のうち「傲慢」を象徴する生物のひとつとされ、悪のイメージがだんだんと強まり、ついには悪魔のシンボルとされたのです。
とはいえ、グリフォンの威厳がすっかり失われたわけではありません。
ヨーロッパでは古くから、グリフォンの紋章は知識の象徴とされてきた歴史がありましたし、物は言いようで「プライド(傲慢)」を「プライド(誇り高い)」と解釈する見方もありました。
グリフォンは鳥王・獣王の要素を合わせ持つため、紋章として王侯貴族や騎士たちに大変人気だったのです。
3.能力考察
グリフォンは、大きな馬でも鋭い爪と嘴でやすやすと空に運び去り、引き裂いてしまいます。
ドラゴンのように炎を吹くわけではなく派手なところがないため、しばしばドラゴンより下に見られがちなモンスター。
しかし、グリフォンを侮るのは間違いです。
グリフォンはゼウスを始めとした神々の戦車を引く役割を持っています。
ギリシャ神話においてゼウスが戦う相手は、大地の神クロノス率いるティターン神族。大地母神ガイア率いるギガース神族。そして、ガイアの末子で宇宙を焼き払う怪物テュポーンです。
そんな規格外とも言える神々の大戦争に出るグリフォンは、神に比肩しうる存在であると考えるのが自然でしょう。
グリフォンは、神と共に戦える強さをもつ聖獣であり、人はもちろん並のドラゴンでは相手にならないほど強いモンスターなのです。
また、グリフォンには黄金を見つけ守護する習性と、馬を嫌う習性があります。
黄金を守護する習性の方はあまり知られていませんが、ギリシャの遥か北方の金鉱に住んでいて、金を狙ってやってくる巨人族アリマスポイ人と戦っていると伝えられています。
一方、馬を嫌う習性は有名です。
グリフォンの馬嫌いはすさまじく、グリフォンと馬の間に子供が出来るなんてありえないのですが、昔の人は「もしも子供が出来たなら」という想像をしました。
その結果生み出されたのが、ヒポグリフという「存在しない」モンスターです。
ヒポグリフは、グリフォンと馬の間に生まれる子供で、鷲の頭と翼に馬の下半身をもつ姿をしたモンスター。
グリフォンが馬嫌いなため、本来ヒポグリフは「ありえない」存在でした。
ところがこの事は、時が経つうちに「ありえない」から「ある」に変化していきました。
後世になるとグリフォンは、牡馬を食べ、牝馬に子を産ませる生物だと誤解されることが多くなるのです。