サタン

ファンタジーで定番の魔王サタン。
サタンというのは称号のようなもので、本当の名前はルシファーあるいはイブリースとするのが一般的です。

(目次)
  1.姿形
  2.由来
  (1)サタンの意味
  (2)サタンたくさん
  3.能力考察

 

1.姿形

冒頭のとおりサタンとは悪魔の最上位を指す称号で、キリスト教の堕天使ルシファーあるいは、イスラム教の堕天使イブリースがサタンと呼ばれます。

サタンという名の天使がいるという説もありますが、一般的ではありません。


天使だった頃は、どちらも光り輝く美しい姿だったと言われますが、堕天して悪魔となった後の姿は諸説あり、決まった姿を持ちません。

一般的な悪魔の姿だったり、天使と同じ翼を持った人型で描かれるほか、角が生え、後頭部にも顔が付き、足に裂け目がある怪物として描かれることもあります。

 

2.由来

(1)サタンの意味

名前の由来はヘブライ語のサーターンで、「敵対者」という意味です。
ちなみにアラビア語では、アル=シャイターンといいます。


元々サタンという単語は、妨害する者、誹謗ひぼうする者、訴える者といった意味があり、よく使われる言葉でした。
サタンと呼ばれるのは、悪魔だけでは無かったのです。

暴言を吐く人、邪魔をする悪霊、試練を与える天使もみんなサタンです。

しかし、ヘブライ語の聖書が翻訳ほんやくされた時、サタンという単語はすべて悪魔と訳されました。
そのため悪魔としてのサタンだけでなく、天使や人間もサタンと混同されたのです。

サタンという名の天使がいるという説は、ここから来ています。

(2)サタンたくさん

前述のように、一般的にはルシフェルあるいはイブリースをサタンと呼びますが、他にもサタンと呼ばれるものが存在しました。

例えば悪魔アザゼル。
アザゼルは、イブリースが悪魔になる前の、天使だったころの名前であるとも言われます。

また、ヨハネの黙示録もくしろくに登場する赤い竜もサタンの化身とされます。
ヨーロッパでは、レッドドラゴンは魔王をイメージさせるのです。
なお黙示録には「ローマ皇帝がサタンである」という意味も隠されています。
(古代ローマは、キリスト教を迫害はくがいしていました。)

ほかにも民間のオカルト書籍では、サマエル、サタナエル、ベルゼブブなどなど、たくさんの悪魔をサタンと呼んでいたのです。


怖いものは、全部サタン。
あれも、これも、お前もだ!
・・・人間の方が怖いこと、ありますよね。

 

3.能力考察

「精神攻撃は基本」

魔王というと、物語のラスボス。
いったいどんなスゴイ攻撃をしてくるんだろう・・・
本を読んだりゲームをしていると、怖さよりも期待が先にありますよね。

でも、ルシファーやイブリースの場合、目的は人間をほろぼすことじゃありません。

滅ぼそうとするのは、むしろ神様のほう。
最後の審判しんぱんの日を待てば、天使が世界を滅亡させます。

人間を滅ぼしたいのならサタンは何もする必要はなく、ただ待っていれば良いのです。


ならサタンは何をしたいのか。
それは、神への復讐ふくしゅうあるいは説得です。

神の被造物ひぞうぶつである人間をそそのかし、争いや犯罪、堕落だらくといった悪の道に進ませることで、「あなたは間違っている」と神に事実を突きつけ、自分の正しさを証明したいのです。

だから、相手が善人のまま死んでしまっては、あまり意味がありません。
死ぬ前に悪人になってもらう必要があるのです。

契約けいやくで魂を欲することはありますが、基本的には非暴力。
善人・聖人相手には、まず言葉で戦います。
ただし、一人の聖人を説得するためだけに、その他大勢の命や財産をうばったりもしますので、狙われた周囲にいる人はとても危険です。

手段を選ばず、相手をじわじわと精神的に追い詰めるのがサタンです。


最後の審判というタイムリミットまでに、出来るだけ多くの人間を説得し、悪をはぐくむ。

方向性は真逆ですが、選挙前の政治家や、テスト前の教師とちょっと似ている気がします。